

多様性の時代、ユニフォームが企業ブランド戦略に欠かせない理由
いまビジネスシーンでは、多様な働き方にあわせた「制服」が企業としての統一感やメッセージを伝えるシンボルとしてあらためて注目されています。2025年春、BMWはディーラーのセールスコンサルタント向けに新たなユニフォームを導入しました。「駆けぬける歓び」を提供価値とするBMWがホスピタリティー&ブランディングを実現するために、ユニフォームに込めた狙いをうかがいました。

BMWの世界観を伝えるユニフォーム
「会議に着ていくと『かっこいいスーツですね』と声をかけられることが増えました」と笑顔を見せるのは、BMWの巻波浩之シニア・マネジャー。今回の新ユニフォーム導入を含むBMWの「ホスピタリティー&ブランディング」戦略を進める責任者です。 スーツはBMWのカンパニーカラーに通じる濃紺をベースに、しっかりしたウール素材と伸縮性に富んだ洗える素材の2種類が用意されています。2025年春から、全国のBMWディーラー約6割のセールスコンサルタントが、このスーツで接客の最前線に立っています。 新しいユニフォームは、BMWの「ホスピタリティー&ブランディング」戦略にとって、重要な柱のひとつに位置づけられていると巻波さんは解説します。 いまBMWでは、国内トップのプレミアムブランドになることを目指したブランド戦略と、お客様へのホスピタリティー向上に取り組んでいます。BMWのブランドイメージである、車を運転することで得られる「駆けぬける歓び」という価値をどのように伝えるか。「お客様が販売店を訪れた瞬間から、BMWの世界観やメッセージを感じていただきたい。しかし、まだそのレベルにまでには至っていないのが現状です」。その課題解決に向けて、店舗のデザインや設備などのファシリティーの統一、接客マナー向上のためのトレーニングと並んで、オリジナルユニフォームの導入が決まりました。

「これまで服装は、各ディーラーのセールス担当者にまかせていましたが、一部にBMWのブランドイメージにはそぐわないケースもありました。個性はもちろん大事ですが、それは営業技術や接客コミュニケーションでこそ発揮して欲しい。ブランドへの信頼感を生み出す大切な役割をユニフォームは担っていると考えます」 製作を担当したのはオンワードパーソナルスタイル。「プレミアムブランド感を伝えたい」という要望にこたえ、スーツ上下2種、シャツ、ネクタイをオーダーメイドで製作しました。試行錯誤したのはネクタイ。当初はBMWカラーである白と紺のストライプなども試したそうですが、最終的には紺色のオリジナルデザインに決まりました。「華美ではなくシンプル。機能的なデザインもよいと思います」と巻波さん。さらに「全国のディーラーまで採寸に出向いてくれる機動力とスピード感が、プロジェクトにとってありがたかった」と話します。

BMWが目指す次のステップは、セールスコンサルタントの接客マナーやスキルを「コンシェルジュ」レベルに引き上げていくことです。「車を売るだけでなく、お客様の人生に新たな価値を提供するお手伝いができる。一人ひとりがまさに信頼される“コンシェルジュ”のような存在になった時、BMWが名実ともにプレミアムブランドとして認められるのだと思います」

お客様の人生に寄り添うコンシェルジュを目指して
東京・お台場にある「BMW GROUP Tokyo Bay」は、最高級のX7シリーズをはじめ最新車種を展示し、40以上の試乗可能車を取りそろえた日本最大規模の販売拠点です。河崎旭紀(あきのり)さん(46)は、ここでセールスコンサルタントのチームリーダーを務めています。 「最初に着たときは、やはり身の引き締まるような思いがしました。販売担当の24人全員が同じスーツでお出迎えすると、店舗の雰囲気も変わり、お客様もちょっと驚いていたようでした」と語ります。着心地は「フィットしていながら、伸縮性に富んでいるのがありがたい。仕事柄、車からの乗り降りも多く、ズボンのお尻が裂けたこともありますが、そんな心配はいらなさそうです」。

河崎さんが心がけている接客での振る舞いは、「すべてお客様から学ばせていただいたもの」と振り返ります。「転職した当初、お客様から『対応が業務的だ』と注意を受けたことがありました。BMWのお客様はそれだけお求めになるサービスの水準が高いのだと痛感しました」 若いころのことです。大事な商談の際、気合を入れ熱意を示すため赤いネクタイを締めていきました。しかし、お客様から「きょうはそんなに車を買わせたいのかな?」と見透かされてしまったそう。それ以来、赤いネクタイは避けるようになりました。「装いや持ち物、言葉遣いなどお客様にどんな印象を与えるかは常に意識しています。たとえば、お客様からサインを頂くのに格安で売っているようなボールペンをお渡ししては失礼になります。私は結婚した時、妻からプレゼントされたネーム入りのペンを使っていますが、これもお客様がお持ちになっていたものを参考にさせてもらいました」 新しいユニフォーム導入により、見た目が同じ分、表情や行動も他のセールスコンサルタントと比較されやすくなります。河崎さんは「会話の内容や営業スタイルで個性をさらに磨いて、私という人間を知っていただく必要があると感じます。接客に極意などはありません。正解がないからこそやりがいがあるとも感じています」と話しました。

BMWは買い替えだけでなく、親から子へとオーナーが引き継がれることも多く、BMW Tokyo Bayのセールス担当は平均で約400人の顧客とつながっているそうです。「新しい車に乗ることで、お客様の趣味や遊びに行く場所などライフスタイルそのものが変わることを見てきました。そんな人生が豊かになる喜びを実現できる車がBMWだということを、お客様の人生に寄り添いながらお伝えできる存在になりたいと思います」

オーダーメイドだからこそ発揮できる個性
オンワードパーソナルスタイルでは、オーダーメイド企業ユニフォーム事業を2022年から本格的に展開しています。働き方も多様になっている時代ですが、企業ユニフォームが与える「高級感」「統一感」といったイメージ効果は大きく、一方で軽量ストレッチ性やウォッシャブルなどの機能性も求められています。KASHIYAMAはその両方を兼ね備え、一人ひとりの体型に合わせたオーダーメイドで対応できるのが強みです。 ウール素材を使用した高級感のある「クラシック」と、伸縮性があり軽量かつ自宅で洗濯できる「コンフォート」というふたつのラインアップを用意。メンズ・ウィメンズ共に300種類以上の生地から、希望のデザインを選ぶことができます。 ユニフォームといえば、すべて同じというイメージがありますが、KASHIYAMAの場合、基本デザインは統一しても個人の希望に合わせてシルエットをルーズにしたり、丈をお好みに調整したりといったカスタマイズも可能。オーダーメイドだからこそ、個性を表現できます。 また、企業内のプロジェクトやチームごとなど、少人数の発注にも対応できる柔軟性、国内外のサプライチェーンを生かした出張採寸から最短2週間での納品可能な機動力もセールスポイントです。